自分と違って当たり前
こどもは、何もないところから遊びを作り出したり、知らない子とすぐ友達になれたり、周囲の環境との作用を通じて「自」「他」のコミニュケーションを作るのが得意です。
しかし、成長するにつれて、知識とともに生きる術を習得していくなかで、本来備わっていたはずのそのような「ちから」が埋もれていくように感じます。
美術という教科においては、学校教育のなかで、「この絵はこの構図でないとおかしい」とか、周囲にとって「上手に描く」ということを求められていくなかで、本来は自発的に起こっていた「作る」、「描く」ということに苦手意識を持ち、嫌いになってしまったり、さらには興味さえ持たなくなります。
幼少期からアートに触れることで、「自分と違って当たり前」という感覚を自然に身につけると考えます。何かを作ったり、描いたりする時は”自分が気に入るように”完成させるわけですから、何が嫌いで何が好きかを自覚するきっかけとなります。または、有名な作品でなくとも他の人が作ったり描いた作品を観て友だちと意見を言い合う機会が多くあればあるほど、他者の存在を認めることができ、同時に、自分が自分であっていいんだ、という自己肯定感を育むことにつながると考えています。そして、触れる作品の質が良ければ良いほど、感性は磨かれ、教養としてのアートを身につけながら、自分をしっかりと持ち、他者を認められる、思いやりのある大人へ向かっていくことができるのではなかと考えています。